誰でもモテ度をアップできる、たった一つの方法。

ナンパ・合コン戦略論
スポンサーリンク

いつもと変わらぬ朝。

シャワーを浴び、身だしなみを整え、俺は職場へ向かった。

春らしい陽気に包まれる中、俺はスープストックトーキョーにいた。

週に2度ほど仕事前この店を訪れ、簡単な朝食をとることにしている。

スポンサーリンク

その日も、店にはお気に入りの店員田中さん(仮名)がいた。

彼女はいつも素敵な笑顔をふりまいてくれる。

さわやかな表情はコロナ対策のアクリル板並みの透明感だ。

その日はいつもに増して素敵な笑顔を見せてくれた。

彼女の笑顔と気持ちの良い接客は、今日一日分の活力を与えてくれる。

食事を済ませ、店を出るとき田中さんが「いってらっしゃい」と声を掛けてくれた。

この一言がうれしい。

すごく好みだけど、彼女は俺のプライベートゾーンの存在。

ナンパするようなことはしない。

店員と常連客という良い距離感をこれからも保っていくことだろう。

俺は職場に入り、忙しく仕事をこなしていた。

仕事上の俺は普段の「ばかなべ」という姿を一切見せることはない。

職場では俺を仕事に厳しく真面目な人間、と見る人が多いだろう。

メールチェックをしながら一日の仕事の組み立てをしていたとき、女性部下の山田(仮名)がすでに全国に実施通知している案件を先延ばしにしてほしいと懇願してきた。

あまりに唐突すぎる。

全国に通知している以上、こんなことはありえない。

なぜか理由を問いただすため、山田の事務員の吉田さん(仮名)に確認したところ、山田の計画と進め方に問題があったというのだ。

簡単に言えば、山田は自分のミスを誤魔化すために先延ばしにしてほしいと言うのだ。

「君は何をいってるんだ?」

山田は驚いた表情をしていた。

山田は俺よりも年上、専門知識もある非常に有能な女性だ。

積んできたキャリアも抜群で最大手からの転職組。

そんな俺が、山田の提示を否定することはほぼない。

しかし、今回の山田の提案は明らかに間違っている。自分のミスをなかったことにしたいだけ。

もともとはコスト削減策。遅らせることで削れるコストを最短で削れなくなるということだ。

俺が指摘したのはミスそのものではなく、「自分のミスを隠すため」に身勝手な対処方法をゴリ押ししようとしたところだ。

その後、他の方法はないのか3人で協議し、取引先に交換条件を提示・調整することで事なきを得た。

また、ミス再発防止のルールをすぐさま決定し、上司に今回の件について報告。

結果的に、山田が引き起こした事故は、午前中にすべて完了することが出来た。

「ふぅ」

一息つきながら、俺は思った。

今回はこれで良かったのかもしれないけど、山田は問題の本質を理解しているのだろうかと。

人間誰しもにミスはあるし課題もある。

仮に、指摘されても理解せず、もしくはその場をやりすごすために理解したフリをするなどした場合、問題の本質は解消されないし、山田の問題は何も解決されない。

もし山田がその問題の本質に気付き、人格的成長がなされたとしたら。

会社にとって利益となるだろう。

だが、表裏一体。

問題の本質を看過すれば、また同じ過ちは繰り返される。

プライドの高い実力もある年上女性を相手するのは難しい。

なんだかモヤモヤした気分だ・・・

顔を洗ってさっぱりした気持ちで午後の仕事に向おう。

俺はトイレの洗面所へ向った。

顔を洗い、ペーパータオルで顔を拭き、

心の中で「よし、出直しだ」と鏡の自分に向って気合を入れた。

鏡の前の俺を見た。

 

 

 

 

 

 

鼻毛が出ていた

 

 

 

 

 

 

たった一本。

ただ、あまりにも長い一本。

どこに隠れていたのかは分からない。

現在、午前11時48分

家を出てからこの鼻毛に気付くまで、電車を乗り継ぎ多数の人とすれ違った。

スープストックトーキョーで美人店員の田中さんと話した。

そういえば出社後、密かにお気に入りの東北出身事務員とも軽くトークした。

そして、山田と吉田には指導もした。

 

 

鼻毛を出したまま

 

 

俺は今まで、ずっと鼻毛に気を使って生きてきた。

少なくとも週に一度は鼻毛を丁寧にカットしてきた。

なぜそこまで鼻毛に気を使ってきたか、そこには深い理由がある。

俺の先輩に中島さんという方がいるのだ。

スポンサーリンク

中島さんはいつも鼻毛出しまくり。

他部署の人にも「ああ、あの鼻毛の人ね」といわれるほどの実力。

人格よりも存在感を示す鼻毛。

誰々に似てる人とか、迫力ある人とか、デキる人とか、いろんな表現あるが

「鼻毛の人」

これはあまりにも切ない。

中島さんはご結婚され、お子様もお二人いらっしゃる。

確かこの前は小学校入学とか言っていた。

そのお父さんが会社では「鼻毛の人」と言われてる。

あまりにも切ない。

このことから、俺は「鼻毛の人」にはなりたくないと思った。

ちなみに鼻毛先輩はあまりにも鼻毛が過ぎるため、当時の上司が「ばかなべのほうから言ってくれないか。今のままだと彼のキャリアにもかかわるし、鼻毛のせいで周囲の信頼を損ねることも考えられるよ。」と真剣に相談されたことがある。

確かに鼻毛先輩は、鼻毛のせいで仕事にも悪影響を及ぼしていた。

ある部署の業務プロセス改善プロジェクトにて、我々のチームのフィードバックを鼻毛先輩に発表を任せたことがあったが、一部の心ない者は内容よりも鼻毛の動向ばかりを気にしていることがあった。そういう意味で、鼻毛を改善する必要はあるにはあった。

だが、鼻毛先輩は実は非常にプライドが高い。

性格的にいじられる側ではなくいじる側だと自分では思ってる。

そんな先輩相手に「先輩、鼻毛どうにかしてください」とは言えるはずもない。

俺がそんなこと言おうものなら、鼻毛という問題ではなく、生意気な後輩が何を言ってると論点がすり替えられるはずだ。

このことから、上司からの要請はあったが鼻毛対応は俺個人で対応するのではなく、チーム全体で対応すべき課題だと上司に逆提案。これをきっかけに上司2名、先輩1名を含めた「鼻毛プロジェクト」が発足した。

主な内容はどうすれば中島さんは鼻毛を手入れできるようになるかだ。

協議の結果、中島さんの直上司の中林さんから伝えることになった(決め方はあみだくじだった)。

ただ、中林さんは伝えることは了承したが、全員でランチに行った時でなければいやだと駄々をこねだした。いわゆる連帯責任、リスク分散戦略である。

俺たちは渋々その条件をのみ、個室のある中華料理屋へ全員でランチに行くことにした。

食事を終え、コーヒーを飲んでいるとき、中島さんは機嫌よくしゃべっていた。

中島さんはとても話好きで、しゃべり出したら止まらない。

同じ会話を何度も繰り返すというキラーコンテンツを有するおしゃべりプリンスだ。

そして、今日もとにかく止まらない。

「そ・・その話たしか前も・・・」
「いや、そのネタ何回言うんですか・・・」

そんな俺たちのツッコミはお構いなし。

中島無限列車のトークは走り続ける。

しかし、俺たちは中島さんの話はほぼ耳に入らない。

俺たちの焦点は、中林さんが鼻毛の件をいつきり出すかにあったのだ。

そして、少し話が途切れた時、いよいよ中林さんが動いた。

「ウォッフォン、えーと中島君、君さもしかしたら鼻毛ちょっと出てるかも。トイレ行ってきたら?」

我々が言えなかった一言はあっけなく中林さんが口走った。

し・か・し

ここには問題がふたつあった。

1つ目は中林さんが嘘をついたこと。

中林さんは「鼻毛ちょっと出てるかも」と言っていたが

 

ちょっとどころかめっちゃ出てるのだ

 

かも、じゃねぇし、めっちゃ出てるし。

弱気かよ中林さん!!まったく弱気。

これでは中島さんに問題の本質は伝わらない。

そして、案の定この問題が新たな問題を引き起こす。

中島さんは鼻毛を指摘され

「あ、本当ですか」

と言いながらトイレに行くかと思いきや、

 

 

 

親指で鼻毛を押しこんだのだ

 

 

 

そして、何事もなかったように中島さんは誰も期待していない中島さんトークを再開した。

え?

終わり?

全員がそう思っていたであろう。

当然に押し込んだだけでは鼻毛は格納されるわけではなく、数秒後にふたたびふっさふさの鼻毛が鼻から出てきた。

まさに鼻毛再生工場。

俺たちは茫然とした。

もはや俺たちが対処できるレベルの問題ではない。

中島さんはクルクルパーだ。

こうして鼻毛プロジェクトは問題の解決を見ないまま解散した。

ただ、これをきっかけに少しだけ進化したことがある。

それに気付いたのはまぎれもなく俺だ。

中島さんは俺の近くのデスクに座っており、比較的中島さんの行動を把握できる。

そして、最近の中島さんの変化に気づいた。

 

 

定期的に親指で鼻毛を押し込んでいるのだ

 

 

親指の感覚で、鼻毛が出ているかどうかを確かめながら、出ている感触があった際には押し込んでいるのかもしれない。

この親指鼻毛チェックが中島さんのルーティンに加わったのだ。

今なお鼻毛は出続けてはいるが、親指で押し込んだ直後の一瞬だけ鼻毛が消えるようになった。

鼻毛タイムが減ったわけだから、前進ではあるのかもしれない。

ただ、「あの鼻毛の人ね」から「あの鼻毛を押し込む人ね」に変わっただけなのではないかという説が有力だ。

いまや俺も「あの鼻毛の人」と言われているに違いない。

スープストックトーキョーの美人店員・田中さん、今日はいつもにまして笑顔だった。

東北出身事務員もいつもにまして笑顔だった。

山田と吉田は俺に指導されているのにどこかフワフワしていた。

それもこれも、俺が「鼻毛の人」であったからに違いない。

この日、俺はすべてを失った。

失ってからはじめて気付く

 

 

「鼻毛を出さないことの大切さ」

 

 

でも、出てしまっていた事実はもう消すことはできない。

だから俺は、もう過去を振り返らない。

これからの俺にできること。

それは、ふたたび鼻毛が出ないように生きていくことだけだ。

さぁ、新たな一歩を踏み出そう。

 

 

鼻毛が出ない世界へ。

 

 

鼻毛を出さない、たったこれだけでモテ度爆上げ間違いなしである。

スポンサーリンク

このサイトをフォローする!

コメント

タイトルとURLをコピーしました