上京したての当時、俺は五反田に住んでいた。
同棲3年、一人暮らし2年。
事情もあり五反田内で4回引っ越ししている。
五反田は今でこそ「五反田バレー」などと、スタートアップが集まる街だともてはやされているようだが、俺が住んでいた頃は「風俗とぼったくりの街、五反田。」と言われていた。
もちろん、このフレーズは超ほめ言葉だと思ってるし、事実、職場の同期5人が五反田にきっちりとぼったくられているので的確としか言いようがない。
俺の同期は道端でキャッチに夢のようなプランを提案され、言われるがまま雑居ビルに5人全員が入り、それぞれ小部屋に通され、中華系の女が着衣で出てきて、全裸オプション、キスオプションと、なんでもかんでもオプションにされ、結局フェラなし。全員オナホールで抜かれ一人45,000円だったそうだ。オプションをつけた者、つけなかった者、全員一律45,000円だったらしい。
この「まぁ払える」ぐらいのぼったくり額、絶妙である。仮に請求額が45,000,000円だったとしたら、与沢翼なら即金で払えるだろうが俺たち一般市民は一、十、百、千・・・とまず請求額がいくらなのかを把握することにさえ時間がかかる。
かといって、450,000円と設定した場合、これは現実的に払えるギリギリかもしれないが、いや、射精で450,000円は高杉だろ!!とツッコむに違いない。一方、45,000円と言われると話は変わる。
「もしかして・・あのオナホールってそんなに高級だったのか・・・」などと、そんなわけないのわかってても45,000円で現実世界に戻れるのなら戻りたい・・と思ってる自分が背中を押すだろう。
「45,000円は勉強料だ」と前向きに解釈し自分の負けをなかったことにするかもしれないし、「俺は45,000円程度の金なんとも思ってない」と金に寛大な自分を誇りに思うかもしれない。なんにせよ、全部言い訳であるが、45,000円は言い訳に丁度良い金額設定だ。やるじゃん、五反田。
ビビり5人組の彼らも一言も文句を言わず支払った。ちなみに彼らはその出来事を今でも武勇伝のように語っている。ぼったくられてからが一人前とでも思っているのだろう。アホである。
多くの人にとって五反田は風俗でぼったくられる街かもしれないが、俺にとっては第二の故郷。
今もなお五反田を愛しているし、みんな五反田の素晴らしさを知らなすぎるとも思う。
そこで、今回のシリーズは五反田の素晴らしさを共有する記事にしようと思う。
まず、謎だなぁと思うのが五反田でナンパをする人間を見た覚えがあまりないことだ。
五反田でナンパをしないだって?
もったいなすぎる話だ。
何がもったいないかと言うと、五反田には五反田らしい出会いがあるからだ。
まぁ五反田に1年以上住んでいると、どこが風俗嬢の待機場かなどは手に取るようにわかる。
たとえば、西五反田界隈。
ラブホが多数建っている道の真ん中にマンションのようなものがあるのだが、今はどうか知らないが当時は間違いなく風俗嬢の待機所だったマンションがある。
隣のラブホから出てきた女がマンションに入る、またはマンションから出てきて隣のラブホに入っていく女、このシーンは何度も見た。

ラブホの正面にあるセブンイレブン前でこれから風俗に行く男客と、これからラブホにご出勤する風俗嬢、プレイを終えた男客、仕事を終えた風俗嬢たちをのんびり眺めながら肉まんをつまみにビールを飲むのが当時の俺の週末の過ごし方だ。←要するに暇人
まぁ風俗店がある街に待機所がある、これは当たり前の話ではある。新宿、池袋界隈ではネットカフェが待機所になってたりもするらしいし、ネットカフェで自営業してる風俗嬢もいるらしい。とにかく風俗店がある街では風俗嬢はどこかで待機している。
デリヘル嬢だけでなく、五反田東口方面にはピンサロも豊富にある。五反田の遊楽街から出てくる一人で歩いている女の風俗嬢率は当然に高くなる。お前、切り干し大根よりも素朴やんけ!!みたいな女も実は風俗嬢だったりする。
マジで人は見た目ではわからんものだが、それも五反田らしさではないかと思ってる。新宿、渋谷あたりにいる「ザ・風俗嬢」よりも「え?風俗嬢?」のほうがサプライズがあっていい。なぜそう思うかというと、そういう体験をしているからにほかならない。
五反田でアポ負けをしたある日の21時。
女を駅まで見送った俺は途方に暮れていた。
「このままでいいのか?今日は金曜だぞ?」

俺は五反田西口の駅前で9%チューハイを飲みながらどう過ごそうか考えていた。
すると俺の横にスマホでしゃべりながら女が座った。
「うんうん、内地の人やもんねぇ」
内地?なんか聞いたことあるなそのワード。なんだっけ・・・
ああ、思い出した。
沖縄でナンパしたとき現地の人間が俺たちのことを「内地からきた人」と言ってた。じゃ、この女は沖縄出身なのか?聞いていると、言葉のイントネーションがどことなく沖縄風味を感じる・・・
よし、この電話が終わったら沖縄トークでナンパしよう。
俺はスマホをいじりながら、女が電話を終えるのを待った。
5分経過・・・
10分経過・・・
15分経過・・・
30分経過・・・
なげぇなオイ(;゚Д゚)
思った以上に長かった・・・缶チューハイもなくなったし、小便もしたい。あきらめようとした。ちょうどそのタイミングで女の電話が終わった。
「お姉さん、電話長いわ!」
「やっぱり待ってた?(笑)」
バレてた(;゚Д゚)
チラチラ見ながら缶チューハイを飲む小さいおっさんの思惑は見事にバレていた。というか電話中に何度か目が合ったのでこりゃイケるなという予感もあったのだが。
「お姉さん、もしかして沖縄の人?」
「そう、わかる?」
「なんとなくイントネーションで。俺、毎年沖縄行ってるんですよ、友だちいるし。」
「へぇ、そうなんだ。友だちはどこにいるの?」
「北谷と名護ですね」
「二人もいるの!?」
「はい、二人とも学生時代の友だち(というのは嘘でナンパした子たち)です」
沖縄トークはあっさりと通用した。そこから5分ほど話した後、いよいよ連れ出しトーク。
「お姉さん、すみませんぶっちゃけ俺トイレ行きたいんで店行きません?」
「はは(笑)いいよ一杯だけなら」
つづく。
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