不良がモテる時代に猛抗議をした結果 第二話

2.ブサクエⅡ 白浜の神々

「兄さん、ここです!!この辺にあるはずです!!」
「こ・・こんなところに新たな女との出会いが!?」
「はい、僕も信じられないのですがここなんです。」

俺とK村は、大阪の日本橋にいた。

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日本橋という場所は、東京でいえば秋葉原のような電気街。歩いているのは冴えないおっさんか、冴えないオタク野郎か、冴えないニートしか見当たらないが、俺ももっぱら冴えないのでどっぷりとこの冴えない雰囲気に同化することに成功した。

周りは冴えない男ばかりで女の姿などほぼ見当たらない。こんな街に新たな出会いがあるのだろうか・・・

車を停め、K村の案内で電気街を歩く。

「K村さん、例の場所というのはどちらですか?」
「確か、このへんのはずなんですけどねぇ・・・、あ!!あれです!!!」

K村が指をさした先は、普通の電気店だ。

「兄さん!!見つけました!!あれですあれ!!」
「ほほう・・・一体何が・・・・」

 

 

 

 

 

な・・なんだこれはーーーー(;゚Д゚)

 

 

 

 

 

な・・なんだと・・・ガチャポンで女の電話番号が入っているだと!?

「携帯TEL」という表現自体、時代を感じるのだが。

そう、日本橋にはかつて、女の連絡先が入ったガチャポン(以下、神ガチャ)が存在していた。

連絡先入りの神ガチャが4台横並び。中身は満タンだ。

満タン?ということは誰もこれやってねぇってこと?

いやいやいや、こんなオイシイものなのに、誰もやってねぇのか?単純に疑問だった。たったの200円で女と知り合えるというのにこの最強の商品が売れ残っている。

試しに俺たちはマックでテイクアウトしたポテトをつまみ、メロンソーダを飲みながら近くで神ガチャを見守った。

冴えない男たちが神ガチャの前を通りすぎるが、あまり存在に気づく人間はいないが、一人の男が神ガチャの前で立ち止まった。見た目からして冴えないオブ冴えないな頭髪がアブラギッシュなその男は、舐め回すように神ガチャを覗き込んだものの、しばらくして立ち去って行った。

それからしばらく、何人かは不思議そうに眺める人間もいたが、しばらくして立ち去っていく。

「あいつら、あんな生き方でいいんですかね。」
「え?」

急にK村が言葉を漏らした。

「あいつらね、自分の殻を破れてないんすわ。」
「ど・・・どういうことやねん?」

K村は、一旦俯き、一呼吸をした後、メロンソーダを地面に置き、話始めた。

「あいつらはね、本当はガチャポン回したいんですよ。女の連絡先がほしくてほしくてたまらないんですよ。でもね、できないんです。なぜかって?それはガチャポンを回してる自分の姿を誰かに見られたらどうしよう?200円で女と出会おうとしてる自分を誰かに見られたらどうしよう?そんなね、ヘンなプライドが自分を邪魔してるんです。いいじゃないか、200円で女と出会おうとしたって。そうしようとしてる自分だって本当の自分なんですよ。そういう自分を認めるところから何もかもはじまるわけじゃないですか。なのに、あいつらは本当の自分に嘘をついて生きているようなもんです。あのままではあいつらきっと後悔しますよ。」
「なるほど、で、一人じゃアレだから俺を連れてきたってこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

これ以上ないというような真顔だったのでとりあえずK村から目を逸らしておいた。

ナンパで地蔵慣れしていた俺たちはその後も30分ほど神ガチャを眺めていたが、誰も手を出すものはいなかった。

「さぁ、K村さん神ガチャの前に行きましょうか。」
「え?どちらへ?」

 

 

 

 

 

 

  

 

 

俺たちはみずほ銀行日本橋店に駆け込み、ありったけの金をすべて100円玉に変えた。

両替機のフタが開くと、紙切れ一枚だった1万円札が2本の棒状になった100円玉へとその姿を変えている。

「ひゃはははははぁぁぁ、これで50回分じゃぁ!!!」
「おらおら、100円玉は全部俺らのもんじゃぁ!!!」

まぁ、今の俺ならシラケた目で見るような両替ではしゃぐ痛い若者。だが、当時の俺たちはこの山ほどある100円玉の先にあるおっぱいのことを考えると、喜びを抑えることはもはや不可能だった。

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棒と化した100円玉の塊を8本握りしめ、俺たちはまっすぐ神ガチャに向かった。

「よし、まず一回目。いくぞ。」
「はい、兄さん!お願いします!」

100円玉2枚を投入し、ハンドルを右に二回転。

ガランゴロンガラン・・・

出てきた。丸いカプセルの中には紙切れが入っているようだ。

さて、中身は一体・・・

次号、急展開!

のような無意味な引っ張りはしない。

カプセルを空け、中に入っている紙を開いた。

ん?

こ・・

これって・・・・

 

 

 

 

す(;゚Д゚)

 

すげえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ之ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ(;゚Д゚)

 

 

 

さて、上記の「え」の中にひとつだけニセモノの「え」が入ってます。

さて、わかるかな?

いやいや、そんなことはどうでも之之ねん!!

 

 

ガチでこんなん出てきました

 

 

今思えばなぜあの紙切れを全部残しておかなかったのだろう。今なら最高のネタになったのに・・・。再現したつもりだが、ご丁寧に写メがついており、名前、メアド、電話番号などが書かれた横長の紙が入っていたのだ。

しかも、実際の紙は手書きだ。

PCで第三者が打ち込みしてもわからんだろこれ!!のようなものではない(時代やなぁ)。

「おい、これガチなやつか?」
「ヤバいっすね、これマジでヤバいっすよ。」
「K村、俺たちはもしかしたらこれまでの日本社会の常識を覆す可能性があるぞ。」

俺とK村は、一切モテることはなかった。

モテないがために、必死にナンパをし、ゴミのように扱われた。

地べたを這いつくばりながら、どうにかパンツだけでも覗いてやるとスカートの中に忍び込み、何度もぶん殴られた。

イケメンか、スポーツマンか、不良か。

女にモテるのはいつもこういうやつらだった。

もっともムカつくのは不良の存在だ。

俺もK村もある意味不良品。不良の一員ではある。だが、不良のようにワルではないしケンカなんか絶対にしないし、目があっただけでブチ切れるほど自意識も高くない。

恐らく不良品の中でもまだ正しいはずの俺たちが一番モテない。

なんて不条理な世の中なのか。

だが、神は確かに存在した。

いや、神ガチャは確かに存在した。

いや、紙が俺の手中に確かに存在した。

どんなにチビでも、ブスでも、

 

200円さえあれば逆転可能な時代到来。

 

俺の右手には、俺が学生時代に憧れていたTOMOMI KAHARAに似ている女の連絡先がある。

Lonely くじけそうな姿 窓に映して
あてもなく歩いた 人知れずため息つく
I‘m proud 壊れそうで崩れそな情熱を
つなぎとめる何かいつも探し続けてた

そう、俺は確かに探し続けていた。

その探し続けていた「何か」が今ここにある。

神ガチャだ。

ありがとう、TOMOMI。

俺は、いつまでもあなたのファンです。

TOMOMI・・・

と・・

と・・・

 

 

 

 

朋美ーーーーーーー(;゚Д゚)

 

 

 

いやいやいや、もう原型ございませんやん!(;゚Д゚)

誰かわからんし、なんなら性別がどっちかもわかりませんやん!(;゚Д゚)

もう、あの頃の朋美はいない。

現実と向き合おう。

「K村、全部買い占めだ。」
「合点承知!!!」

俺たちは高笑いをしながら、すべてのカプセルを手にし、鞄にカプセルをすべて詰めてロイヤルホストへと車を走らせたのだった。

つづく。

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