パクソダクエストⅠ いつかのメリークリスマス Season1

0.パクソダクエスト ばかなべの原点
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2020年2月、第92回アカデミー賞の授賞式でポン・ジュノ監督が手がけた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を受賞したことが話題になった。

その映画に出演していたパク・ソダムは私の好みの女優だった。

いや、好みというよりも初めて恋愛をした相手。

傷つけ、傷つけられた当時の彼女と似ていた。

その彼女に未練があるわけではない。

だが、今思うと女の好みの基準に大きな影響を受けていると思う。

・・・

-高校3年の9月

「ばかなべさん、紹介したい子がいるんですけど、今彼女います?」

後輩の松山は、唐突に俺に問いかけた。

「彼女?ああ、先週別れたばっかりやわ」

小さな嘘をついた。

本当は付き合ってから3ヶ月になるあつこという彼女がいた。

ただ、あつことは受験勉強の兼ね合いでギクシャクしていて、別れる予感をしていた。

「ばかなべさん、前に成蹊の子紹介してって言ってましたよね(笑)」
「はいはい。その子ら成蹊の子なん?」
「はいそうです(笑)じゃ、紹介するんでお願いします。来週の日曜とかあいてます?」
「おお、空いてる空いてる。」

すると松山は女子にすぐ連絡を入れた。

「ばかなべさん、じゃ日曜で決定でお願いします!むこうは二人ですけど、誰か誘えます?」
「じゃ、俺の連れつれてくよ。」
「はい、お願いします。結構二人ともかわいいっすよ」
「ほほう、まぁ期待しすぎひんようにしとくわ(笑)」

松山と同い年ってことはひとつ下か・・

冷静を装ったけど、期待感は高まっていた。

最近は勉強ばっかりでつまらなかったし、気分転換に絶好の機会だ。

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松山の紹介で来る女の子は、大阪成蹊女子高校に通う女子高生。俺は成蹊女子が大好きだった。緑のラインのセーラー服がかわいかったからだ(当時)。

成蹊

あの制服を着ているだけで、どんな子でも2割増しぐらいに見えた。

当時、ナンパも海ぐらいでしかやったことがない俺にとって、成蹊女子の子と知り合えるのはまたとないチャンス。

相手が二人ということで、友人のヒロを誘うことにした。

ヒロは中学のころに知り合ったのだが、友人の中で唯一のヤンキーっぽいやつ。お互い習っていた武道の道場が同じでそこで話すようになってから仲良くなった。

喧嘩が強くて短気だから学校のやつらからは距離をとられてたけど、実は思いやりがある根はいいやつだ。

複数の彼女を作ったり、自分の彼女に小便を飲ませるなどなかなか進んだ女癖の持ち主だが、最近彼女と別れたらしく、少し前から誰か紹介しろと言われていたからタイミングはばっちりだ。

・・・

-日曜日

梅田のエスト1前で待ち合わせをしていたら、女の子二人が俺たちに近寄ってきた。

「ばかなべさんですか?」
「うん、そうやで。松山の友達の子?」
「はい、そうです。私はマキで、この子は京子です」

あらわれたのは真面目そうだけど普通にかわいい部類の子だ。

・マキ レベル27
切れ長の目をした和風顔でよく笑う明るい子。モーニング娘に例えるなら鞘師 里保(さやし りほ)に近い(懐かしい)。

さやし

・京子 レベル24
ハーフ顔。髪の毛も目も色素が薄い大人しそうな子。モーニング娘に例えるなら光井愛佳に近い(懐かしい)。

光井

2人とも結構かわいいほうなのに男との出会いを求めているとは・・・、女子高ってつくづく不幸だと思った。この子たちが成蹊の制服を着たらどんな感じなのかと想像したのは言うまでもない。

「はじめまして、ばかなべです。ああ、こいつは友達のヒロ。」
「ども、こんにちは!よろしく!」
「はじめまして。京子です。」
「じゃ、とりあえず飯でも食べようよ」
「はい。」

俺たちは昼ごはんを食べるお店へと歩き出した。

・・・

「おい、ばかなべこれ今日当たりちゃうの?」

ヒロはうれしそうに俺に話しかけた。

「そやな。お前はどっちがええん?」
「やっぱマキのほうやな。お前は?」
「確かにマキはかわいいな。俺はどっちでもええで。」

本当は俺もマキのほうがいいと思っていたけど、ヒロの手前どっちでもいいと答えた。本当は彼女がいるという負い目が働いたのだ。その後、ファーストフード店でご飯を食べ、映画を見たり梅田をブラブラ歩いたりなどして、夕方に解散した。それからヒロの家に向かい作戦会議だ。

「アカン、俺あの子(マキ)のこと気に入ったわー。」
「そうなん?ほな誘ったらええやん。」
「いやーけどアレはちょっと難しそうやなぁ。」

珍しくヒロが弱気な発言だ。ヒロは良い意味で単細胞だから後先考えず女にいくタイプだ。初めてナンパしたのもヒロと海にいったときだった。周りの大学生たちがナンパしているのを見て「俺らもやろうや。なんか負けてるみたいやんけ」とヒロが言い出したのがきっかけ。

そしてヒロは見事に19歳のお姉さんを連れ出し、フローズンを二人で食べていた。すげえと思いつつ、うらやましそうに眺めていたのが懐かしい。そんなヒロが弱気なのが新鮮だった。惚れたほうが恋愛は楽しいけど、精神的優位にはたてないものなのだろう。友達として応援してやろうと思った。

・・・

-次の日

あつこに放課後呼び出された。2人で会うのは久しぶりだ。いつもの公園で話していたが、あまり雰囲気が良くない。そして、キスをしようとしたらあつこは俺を避けた。

「ごめん。私ら友達に戻ったほうがいいと思う」

は?

高校生恋愛あるあるだ。

唐突だった。

友達に戻りたい、それは別れを意味する。いずれこうなることはわかっていた。俺もあつこに対して気持ちが冷めていたが、いざ別れを告げられるとショックだった。

別れを切り出した理由はわからない。けども、理由をあれこれ詮索するのは格好が悪い。

「そうやな。わかった。じゃ、今から友達な!」
「ごめんね・・。」
「あやまらんでええよ(笑)」

俺とあつこは友達に戻った。

・・・

-数日後

京子から「会って話がしたい」と連絡が入った。

彼女が何を話したいのかは察しがついた。高校生がわざわざ電話してきて話があるというなら、もう恋愛ごとしかないだろう。

あつこと別れたばかりで彼女がいなかったので断る理由はなかった。

捨てる神あれば拾う神ありということだろうか。

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-次の日

京子は成蹊女子の制服で現れた。成蹊の制服を着た京子は以前よりかわいく見えた。←単なる制服フェチ

俺たちは公園で話すことにした。

世間話をしたあと、しばらくして京子は

「話があるんやけど・・」

京子は俺のことが好きだと言った。

京子はお前ハーフなの?と聞きたくなるような女。背が高く金髪ロングのハーフ顔。トリンドルとは言わないまでも美人だ。

彼女が俺の何を気に入ったのかはまったくわからなかったが、恐らく単に「彼氏」なるものがほしかっただけだろう。とりあえず付き合うことにした。

「じゃ今日から私、彼女やんな?」

と、え?それ脅しですか?ともとれるようなセリフを言いながら京子は俺にもたれかかってきた。

成蹊の制服が自分の肩に寄りかかったことに興奮し、俺は肩を抱き寄せキスをしてしまった。

京子はびっくりした顔をしながら

「キスしたんはじめてや。」

-しまった

軽い気持ちでキスしたけど、彼女にとっては初めてのキスだったらしい(鵜呑みにすれば)。

俺は少し後悔した。

きになっていないのに、ファーストキスを奪ったことに責任を感じてしまったのだ。

京子はうれしそうにまた寄りかかってきた。

-この子のこと好きになれるだろうか?いや、好きにならなければ・・・・

京子と向き合おうと思った俺は、再び肩を抱き寄せた。

 

すでに間違いははじまっていた。

 

・・・

-日曜日

京子とはじめて2人でデートすることにした。京都の嵐山に行き、散歩をしたり、ボートに乗ったり・・・いろいろ話すうちに京子のことが少しずつわかってきた。

「私は初めてやったけど、キスしたことあるん?」
「今まで何人ぐらい彼女おったん?」
「ばかなべさん共学やろ?女の友達とかおるん?」

京子は容赦なしにいろいろ聞いてくる。どうやら前の彼女のことや、女友達のことを気にしているらしい。キスしたこともあったし、初体験も済ませていたし、女友達だって普通にいる。そのことを正直に答えると、京子はとたんに不機嫌になり怒りだした。

彼女の要求が高いのに対して、俺の気持ちがそこまでではないからか、追及されると逃げたいような気になってくる。テンションは徐々に下がっていった。

-帰り際

京子の最寄り駅を降りて家の近くまで送ることにした。

「今日楽しかったん?」
「ああ・・楽しかったよ」
「ホンマ?なんかおもんなさそうやん。」
「え・・そんなことないよ・・。」
「次はいつ会えるん?」
「うーーん、来週から体育祭の準備入るしな・・、また連絡するわ」
「ふーん、そうなん。」

京子はあからさまに不満そうな顔をし、まだ家の前までたどり着いていないのに

「今日はもう帰る」

と言ってプイっと帰っていった。京子が去って行ったとき、解放されたような気がしてホッとした。

-その夜

ヒロが俺の家に遊びにきた。

ヒロに京子と付き合ってることを話した。

「お前ええのぉ。こっちはアカンかったわ」

どうやらヒロはマキとうまくいかなかったらしい。

「ええのぉ」と言われたけど、そうでもないんだけどなと思った。

「じゃ、今度京子に違う子紹介するように言っておくよ」

・・・

それからは体育祭の準備や塾などで忙しくしており、夜22時を過ぎて帰ることが多くなった。

「女の子から何度か電話あったで。電話したったほうがええんちゃう?」

オカンに言われた。女の子とは京子のことだろう。しかし、夜も遅かったのでまた今度でいいだろうと思った。

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-日曜日

俺はたまに日曜に遊園地のバイトをしていた。

自営業の父親から「働いてお金を得ることを覚えろ」という教えもあったからだ。

その日も朝から働き昼の休憩をとって仕事に戻ったら

「おい、ばかなべ!なんかお前の名前叫んでる女がおるぞ!」

俺の名前を叫んでる?

どういうこと?

「なんか、泣きながらお前の名前呼んでるらしいぞ」

え!?泣きながら!?

ここでバイトしてるの知ってるのは、あつこと京子だけのはず・・・・

イヤな予感を抱きつつ、現場へ向かうと

「あの子やあの子!」

先輩がその女性を指を差した。

京子だった。

そして、なぜかマキが隣にいた。

京子は俺を睨みつけながら、何かを叫んでいる。

あわてて京子たちのもとへ駆けつけた。

「何!?どうしたん?こんなとこまで来て」
「京子がばかなべさんと話したいっていうから・・・」
「なんで私の電話でぇへんのよ!」

周囲には遊園地客が多数いる中、京子は人目もはばからずものすごい勢いで俺に怒りをぶつけた。

「ごめん・・そういうつもりちゃうけど、忘れててん。」
「何それ!普通忘れたりするん?!おかしいやん!」
「いや、まじでごめん。最近勉強と学校で忙しかったからさ・・。」
「じゃぁなんでバイトなんかしてるんよ!バイトと私どっちが大事なんよ!」
「いや、バイトはだいぶ前からスケジュール決まってたしさ・・。」
「なんなんそれ!じゃ、私はどうでもいいてこと!?」
「いや、そういう意味ちゃうけど。マジでごめん・・」
「・・・。」
「とりあえず今仕事中やから、今日の夜は絶対に電話出るからさ、また夜に電話して。マジでごめん・・。」
「・・・。」
「マキちゃんごめん、仕事に戻らなあかんから京子ちゃん連れて行ったって。今日電話出るし。」

そうしてマキは京子を連れていってくれた。

何が起きているのかわからなかった。

周囲を見ると遊園地客がジロジロと俺たちをおもしろがって見ているような気がして恥ずかしくてたまらなかった。

仕事に戻っても社員の人やバイト仲間に冷やかされ、この場から消え去りたい気分だった。仕事をしながらいろいろ考えた。

電話がかかってきたら一体何を話せばいいのか。話したい気分でもないし、どうすればいいのかわからない。

どうして電話をしなかっただけであそこまで怒るのか。

たったこれだけのすれ違いで、遊園地の入場料を払ってまで仕事場に来る京子に恐怖感を覚えるようになった。

そして、俺は気づいた。

結局、俺は京子のことを好きではないのだ。

そして、恐らく性格的にも合わない。だからこれから好きになるような気がしない。

京子と別れることを決意した。

・・・

-その日の夜

母親に自宅に電話がかかってきたらつなぐようにお願いをしたら

「あんたまだ電話してへんかったん?あれから何度か無言電話かかってくるようになってきてんで。まさかその子ちゃうやろな?」

無言電話・・・今までそんなことは我が家にはなかった。京子かどうかはわからない。でも、京子だとしたら相当にまずい。俺の責任だ。家族にも迷惑をかけてしまっていることになる。

やはりきちんとしなければ・・

しばらくして、自宅の電話が鳴った。

「もしもし、今日はごめんな」
「なんでいっつも電話に出えへんのよ!あんたなんなん!?」

いきなりのラッシュだ。今の時代では考えられないが、当時は携帯電話を学生が持っているのは値前ではない時代。よって、自宅の電話に直接電話がくるのは当たり前だった。

京子はものすごい剣幕で捲し立ててくる。しかし、そもそも俺のいい加減な対応の結果がもたらしたのであって、自業自得。京子は悪くない。俺はひたすら謝った。

ただ、いくら謝っても京子の追い込みはとどまることを知らず、まったく怒りが収まる様子はなかった。

「マジでむかつくわ。なんか私だけ1人でアホみたいやんか!あんた頭おかしいんちゃう?」

最初のイメージでは想像がつかないほどの口撃力を京子は持っていた。何度も怒りをぶつけてくる京子に、この子やばい子なのかもしれない・・・と正直思った。

これは早く別れを告げないと・・・

「ごめん、ほんまにごめんな。全部俺が悪いわ。ちなみにやねんけどもう別れたほうがええと思うねん」
「はぁ?ちなみにって何よ!その言い方おかしいやろ!」

ワードチョイスを間違えた。悪気はなかったけど、余計に京子の怒りを増長させてしまった。完全に俺のミスだ。

「なんで別れなアカンのよ!何か私悪いことしたん?言ってみいや!理由言えや理由!」

 

理由は「京子が怖いから」だった。

 

どんだけきれてんねん・・・・

情けないけど、本当にそのときは怖いからかかわりたくないというのが本音だった。しかし、そんなこと口が裂けても言えるわけがない。そんなこと口にしたら何をしでかすかわからない。

「早く言いや!イライラするなぁ。理由は何よ!?」

まずい・・他の理由が思いつかないのにものすごい勢いで追及される・・・

「マジむかつくねん。はっきり言えや!」
「いや・・だから、他に好きな子ができてん」

思わず全然違う理由を言ってしまった。

「はぁ?出た。何それ。やっぱり他の女と会ってたんちゃうん?あんたマジで最低やな!!」
「いや会ったりはしてへんけど」
「はぁ?うそつけや。」
「いや、嘘はついてへんよ。」
「そんなんどっちでもええわ。私にようそんなん言えるな?誰が好きなんよあんた!」

好きな女なんかはいなかった。しかし、とりあえず何か言わないとこの話は終わらない・・

「誰やねんって聞いてるやろ!?はよ言えや!」
「えっと・・」
「はよ言えっつってるやろ!」
「あの・・、だからマキちゃんかな・・。」

とっさに思いついたのがマキだった。学校や遊園地の子の名前を出したら、また来られるんじゃないかと思ったからだ。ヒロとマキはもう縁が切れているし、俺はマキとまったく接点もなければ連絡先さえ知らない。彼女たちと決別すれば、もうバイト先にくることもないだろう・・・

「はぁ?マキ?あんたマジで言ってんの?」
「お・・おお・・。」
「何それ、いつからの話なん!?」
「いや・・、なんとなく最近・・」
「はぁ?あんたら会ってたん?」
「いや、最初のときしか会ってへんよ。」
「じゃぁなんで私と付き合ったんよ!」
「いや、まぁせっかく言ってくれたし、一旦付き合ってみようかと思って」
「あんたマジで最低やな。マジ最悪。」
「ごめん・・」
「てか、ちょっと待っとけや」

そういうと、京子は受話器をふさいだ。よくは聞こえなかったけど、京子が誰かと話しているのはわかった。



しばらく電話口で待たされた後、ゆっくりと京子は話し出した。

「もしもし」
「あ、はい」
「さっき京子に言ったことホンマなん?」

(゚Д゚)

電話に出たのは京子ではなくマキだった。

「え?マキ?」
「うん」
「え・・、なんで?」
「今、京子の家やねん」
「でな、今、京子から聞いてんけど、それホンマなん?」
「あ・・まぁ・・。」
「うん、わかった。ちょっと待って。」

再び受話器を塞ぐと、よく聞こえないけどマキと京子が何か話してるみたいだ。

「ちょっと、もしもし!」
「あ、もしもし・・・」
「あんたらマジで最悪やな。私のことバカにすんのもほどほどにしてよ!」
「あ、いやマジでごめん・・」
「もうどうでもええわ。勝手にせぇや!」

ガチャ

ツーツー・・・

捨て台詞を最後に、京子は一方的に電話を切った。俺は少し罪悪感を感じたけども、京子と別れられたことに少しホッとした。すべてが終わったのだ。

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-数日後

京子から電話がかかってくることも、無言電話もなくなった。体育祭も終わり、いよいよ受験のクライマックス。俺は普通の日常生活に戻っていた。そんな中、風の噂であつこが卒業したサッカー部の先輩と付き合っていることを知った。

俺と付き合う前に付き合ってた人だ。結局、元サヤに戻ったということらしい。けども、あつこに対する未練はなかったし、すっきりした気持ちだった。心からあつこが幸せになることを願えるようになった。そんなことを思いながらの帰り道、最寄駅を降りると

「ばかなべさん」

誰かが俺を呼んだ。

ふと振り返ると

そこにいたのはマキだった。

to be continued…

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