Rock And Roll Is Dead 第四話/パクソダクエストⅣ

0.パクソダクエスト ばかなべの原点
スポンサーリンク

「はじめまして、ばかなべです」

前回の記事のとおり、付き合って2年になる彼女ミキのご両親に、ちゃんと挨拶をしようと思い、私はミキの実家がある大阪に帰ってきた。

ミキの自宅へお邪魔すると、玄関にいたお父さんとお母さんに挨拶をした。

ミキとの付き合いはもう2年になる。

付き合い始めてから半年後、ミキは東京へ引っ越した。

娘とも頻繁に会えなくなったお父さんとお母さんの気持ちを考えると、挨拶が遅すぎたかもしれない。

私は柄にもなく緊張していた。

緊張をするのは自分自身に自信がないからだ。もっと早い段階で、覚悟をもって挨拶に伺うべきだった。

言い訳をするつもりはない。何を言われようが、しっかり受け止めよう。

その覚悟でミキの実家へ向かった。

スポンサーリンク

玄関で挨拶を終えた瞬間からあることが頭から離れなくなった。

原因は・・

 

 

 

 

 

  

お父さんが誰かに激似なのだ。

 

 

 

 

 

 

はっきり言ってミキが悪い。

自宅に向かう途中、ミキは「うちのおとん波平やけど笑ったらアカンで」と悪意に満ちた前フリをしてきたのだ。

玄関を開けた瞬間、ミキのおとんは立っていた。

8割方、波平だった。

特に頭髪部分が、波平。ハゲ方が波平だ。

我が家計にハゲは皆無。もし、ミキと結婚して子供が出来て、男の子だったとしたら将来ハゲる可能性が0%から50%に引きあがることを意味することは一瞬で想像できた。

まだ見ぬ息子よ、ハゲがいやなら稼げる人間になって頭髪を植えろ。ここから先の時代なら髪の毛を植える技術は格段に上がっているはずだ。

私は、最悪ハゲ家系になることを受け入れた。

ちなみに実際のところ、お父さんは波平にそこまで似てない気がするが、先にいらぬ情報を入れられたものだから、波平にしか見えなくなった。

「絶対に笑ってはいけない交際の挨拶」とか、マジ無理ゲーなんですけど。。。

そして、この波平のキャラがまたすごかった。

居間に通され、お母さんがお茶を出してくださったタイミングで

「改めて、ミキさんと交際させていただいてます、ばかなべです。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。」

などと正座をして挨拶をしたが、波平は無表情のまま無言を貫いた。

その後、終始お母さんを中心にしたトークラリーとなり、波平は腕組みをしながらときおり窓の外を眺めるなど、何を考えているのかわからないキャラなのだ。

ううむ、なかなかの強敵・・・

約15分ほど経つと、トイレにでも向かうのだろうか?波平が立ち上がった。

波平がいなくなった瞬間、場が少し和んだように思えた。お母さんとはある程度話すことが出来た。ニコニコしていて話しやすい方だ。

問題は波平か・・・←この時点で真剣味に欠ける。

ミキの事前情報によると、お父さんは小さな会社を営んでいるらしい。つまり社長さんだ。経営は年々厳しくなっており、いつまで会社を続けれるか悩んでおられるともきいた。悩み多き50代。簡単にはいきそうもない・・・

しばらくするとお父さんが一枚のDVDを持って戻ってきた。

「ばかなべ君、キミに見てもらいたいんだが・・・」
「は、はい!」

そのDVDが何なのか、すぐに想像はついた。「私に見せたい」というからには恐らく、親としてミキを育ててきた思い出が詰まった映像であろう。

子どものころの運動会か?七五三か?高校時代のバンドガールになったミキか?どんな映像が映し出されるかはわからないが、大切な一人娘の姿が出てくるに違いない。

その内容が厚ければ厚いほど、こちらとしてはしんどい。

愛情の大きさをアピールする、言い換えればSDGsをアツく語るなんちゃら団体に「おっしゃるとおりで何も言えねえよ・・」と追い込まれるクソ企業の担当者的立場だ。

どうか、愛情たっぷりすぎる動画だけは避けたい。

ただ、人間は失敗をするものだ。

まさかここで間違えてエロDVDを流すなんてボケ、というかミスだけはしないようにしてくださいね・・・。一般的なエロならいいけど、人間性を疑いたくなるような趣味のやつとかマジ勘弁してくださいよ!

いや、最悪そのようなミスがあっても私はちゃんとリアクションします。ツッコミは「うんこもらしてまんがな!」でよろしいですか?

などと、頭の中でさまざまな妄想が膨らんでいったのだが。

とにかく、私に見せるためにわざわざ自分の部屋から持ってきてくださったのだ。

真剣に拝見する姿勢は崩してはならない。

それがたとえウンコであろうと・・・

いやいや、ウンコなわけないだろ。

でもここでウンコ見せるような波平なら家族になりたい・・・

いやいや、人生をギャグにするな!

などと考えていたら波平が再生ボタンを押した。

スポンサーリンク

画面にはある風景が映し出された。

風景というか更地になった土地?

どこだろう?

もしかして昔、ご家族が住んでいたとか、思い出の場所とかだろうか?

「これはね、ウチの会社から撮ったんだけどね。会社の隣の土地なんだ。」
「あ、そうなんですか・・・。」

そこから少しずつ画像は変わっていく。

基礎工事のようなものが行われ、大工さんが現れて少しずつ建物が建てられていく。その変化を編集したものだ。

「ここがね、こういう風になってね、そのあとこうなるんだよ。」
「へぇ、そうなんですねぇ・・」

波平は動画の端々で解説をしてくれた。

どうやら出来上がる建物は木造のアパートだ。

このアパートが何かご家族と関係あるのだろうか・・・

ミキとお母さんはキッチンで何やら話始めた。

私と波平ふたりきりでDVD鑑賞の時間は流れていく。

「でね、これで完成。この前できたばっかりなの。」
「あ、そうなんですね。」
「はい、これでおしまい。」
「は・・はい、え?おしまい?あ・・ありがとうございます。」

約20分におよぶ波平ロードショーはアパート完成で終わりを告げた。

 

 

 

どういうことですか?

 

 

 

私は目の前で一体何が起こっているのかわからなかった。

なぜ、謎のアパートが出来上がるまでの広告動画を見せられているのか・・・。

もしかして、このアパートを買えってことか?

キッチンを見るとお母さんとミキは笑いを堪えながら私を見ていた。

なんだこの家族は。

こっちは真剣に挨拶にきたっていうのに、ガチで笑ってはいけないをやってんのか?

ちなみに、このアパートはご家族にとって何の関係もないらしい。

私は全身に波平のボケを受け、笑わずに堪えるという仕打ちを受けたのだと今も思っている。

・・・

こうして、無事かどうかはわからないもののもめ事もなくミキの両親への挨拶は終えた。あとは結婚に向かって一直線。

通常ならそうなるだろう。

だが、そんなに世の中は甘くなかった。

スポンサーリンク

このサイトをフォローする!

コメント

タイトルとURLをコピーしました